たくらみは、みれんは、まるめてすてた。
(Leon & Grover 「バイバイジョニー」より)
わたしがいつもしている時計は、文字盤が藍色で、たしか2年くらい前に、質流れ品のセールで買ったものだ。
980円だった。確か。夏だった。その頃いつもミキシの家に居た。
暑がりのわたしのために、部屋の温度は20度前後だった。
よく覚えてる。出勤したミキシを、ミキシの本を読んで待っていた、あの、ぶらぶらのモラトリアム状態。細胞の中にいるような。
買ったのは、文字盤の色が気にいったからだった。わたしはいつも触感やにおいや色でものを買ってしまう。
値段とかブランドとかはどうでもいい。参考にすらならない。
だからわたしの持っているものはすべて子供っぽい。
買った、という言葉で思い出したけど、さっき、楽天で、480円のストールを2つ注文してしまった。
ピンク色とブラウン色。
だって、
4 8 0 円
だったから…。前から持ってたストールはどっかでなくしちゃったし…。
そのあと、同じく楽天で、プリンフレーバーの紅茶を見つけたので注文した。
プリン。プリンだよ。
チョコレートフレーバーとか、キャラメルフレーバーなら聞いたことがあるけど、プリンは初めてだ。
こちらは五個入り200円。
他にも、マロンとかショコラとかクッキーとか、いろいろなフレーバーがあって、なんか全部飲んでみたい。
今は、バニラフレーバーの紅茶(リプトン)を飲んでるところ。
フレーバー紅茶を飲むと、落ち着く、というより、得した、という気持ちになる。
紅茶を飲むという一つの動作だけで、紅茶の味と、バニラのにおいと、両方味わえるから。
普段あんまり得した、とは思わないんだけど。まあわたしはきっと、たべものに関しては貪欲なんだろうな。
わたしの、欲の顕現。その、にんまりした顔の、暗さ。
«きょうのみきくん»
「宇宙がビッグバンから終焉まで、すべて正しいとしたら、星がうまれたことも、ちきゅうに人類が繁栄したことも、計算できる。するとおのずと、おれたちの未来や行動も、すべて計算で答えを出せると思う。おれは、そういうことを理解したい。もしそういう計算方法があるなら」
「そうか。いや、えーと、なんというか。たとえばその、宇宙は正しい、という前提が正しいとするよね。すると、その、正しいというのは誰が決めるの?たとえば、宇宙はビックバンをして、星星がうまれて、地球に生命体ができたでしょ。それが正しいとしたら、正しいと決めているものが何かあるんでしょ?」
「神を信じる?」
「わたし?いや、信じない」
「おれも神はいないと思う。すると、宇宙が正しいと決めているのは、宇宙自身ということになる」
「わかんないな。ぜんぶ仮説と前提で成り立っているじゃんか。その話が正しいとすると、宇宙が意思を持っているということになる」
「そう。それ!!おれはそう思うんだよ!!」
「なんだよ!急にでっけえ声だすんじゃねえよ!え、じゃあ、なにか?君はその仮説にのっとって、これから宇宙を研究するということ?」
「ううん、しないよ。おれ、そんなに暇じゃないし」
「お前…毎日いっしょうけんめいやってる天文学者さんたちに謝れよ」
もうなんかだんだん、人と云うものがわからなくなりかけてきてます。
ミキシのはなしばかりしてごめんね。
毎日ふれあう生身の人間が、今のところミキシしかいないんだ。
毎日顔を合わせるということは、支配し支配されることに似ているね。
そのことについては、またいつか。
つづきは、ドゥンガ。